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2025/10/13 22:55

秋のサイクリング、あるいは何気ない日常。
そんな「いつもの一日」を、もっと身軽に、もっと楽しくするための新しいデイパック。
斜めに走るフロントファスナーが、ちょっとしたアクセント。このフラットなポケットには、財布やスマホを滑り込ませるのがちょうどいい。

【小さなバッグが抱える、大きなジレンマ】
このデイパックの容量は約13L。日常使いには完璧なサイズだ。
でも、開発中に一つの大きな壁にぶち当たった。
一般的なロールトップって、バッグが小さくなると、荷物の出し入れ口も当然、狭くなる。
奥行き13cmのこのバッグも、試作品は正直、使いやすいとは言えなかったんだ。
上の写真の通り赤い方は試作、と青い方は60monster pack。
この2つのバッグはマチ幅はほぼ同じなのに、口の広さが全然違うでしょ?
なんでこうなったのか?

【少年の日の記憶】
その時、僕の頭の中に、まるで稲妻のように、ある記憶が蘇った。
何を隠そう、僕は自転車少年である前に「バス釣り少年」だったんだ。
『グランダー武蔵』を知り、『釣りロマンを求めて』、『千夜釣行』を見て育ったあの頃の記憶。
そして、熱中して追いかけたブラックバス。
英語では「ラージマウスバス」と呼ばれるほど、バカでかい口を持つ、あの魚。
「……あの魚の口みたいにすれば、よくね!?」
まさに、スパイラル・キャストの少年が閃いた瞬間だった。


【怪物と、その名の由来】
この「魚の口」から着想を得た独自の構造を、僕は敬意を込めて「BBロール(ブラックバス・ロール)」と名付けた。
ガバッと大きく開くこの口は、中身を一目で見渡せ、スムーズな出し入れを可能にする。
そして、物語はここで終わらない。
バス釣りの世界では、50cmを超えればデカバス。そして60cmは、誰もが憧れる「怪物(モンスター)」の領域。
奇遇なことに、このバックパックのロールを全開にした時の長さが60cmをわずかに超えていた。
もう、名前は決まったようなものだった。
「60(ロクマル) MONSTER PACK」。
僕の過去と現在が交錯し、この怪物が産声を上げた瞬間だった。

どう? なんとなく、それっぽい口に見えてきたでしょ?

インナーには、軽くて丈夫なナイロンリップストップを採用。撥水性があるの小雨くらいなら余裕で弾いてくれる。
この素材のおかげで、タフなコーデュラナイロンを使いながらも、本体重量は約550gという軽さに抑えることができた。

【60 monster pack】
一見すると、ただのデイパック。
でも、その口には、一人の釣り少年の夢と作り手の知恵が詰まっている。
釣り好きにはニヤリと、そうでない人には「何それ?」と興味を持ってもらえたら嬉しいです。

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