2025/09/27 22:39

全ての始まりはシンプルな衝動だった。
スポーツ自転車を始めてすぐに、その魅力に撃ち抜かれた僕は「自転車に乗って何か仕事ができないか?」と探し始め、メッセンジャーになるのにそう時間はかからなかった。
そこから、僕の人生のペダルは本格的に回り始めた。
【憧れと記憶】
同じ会社の先輩、他社のイカついメッセンジャーたち、そして日本のレジェンドメッセンジャーが放つ圧倒的なオーラ。
彼らの背中を追いかけ、ストリートの空気を吸い込んで育った日々。
その後、僕はロードレースの世界へと夢中になり、メッセンジャーとして走ったのは僅かな時間だった。
だが、あの濃密な記憶は、僕の中に残り続けた。
SLOWSUUを創り出すための最も重要な「元素」として。
【再燃】
そして時は経ち、2023年。
横浜で開催されたメッセンジャー世界大会(CMWC)を見に行ったことが、僕の運命を再び大きく動かすことになる。
彼らの、どこまでも自由な走り。遊び心に満ちた発想。
そして何より、自転車をトコトン楽しむ、あの姿勢。
その光景を目の当たりにした瞬間、かつてストリートに刻んだ記憶が、まるで昨日のことのように蘇ってきた。
いても立ってもいられない。何かを創り出さずにはいられない。
そんな抗うことのできない衝動に駆られた。
【SLOWSUUの誕生】
あの夏、横浜で見た「今」の光景と、僕が体験した「過去」の記憶。
その二つが僕の中で衝突し、混ざり合い、まるで突然変異を起こすかのようにして生まれたのが、このSLOWSUUなのかもしれない。
だから、僕が作るものは、ただのバッグじゃない。
僕が体験してきた自転車カルチャーへのリスペクトであり、あの夏に感じた衝動そのものなんだ。
